奇妙なドキュドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(2014)

テレビ東京で放映されている「山田孝之の東京都北区赤羽」というドキュドラマを御存じだろうか？ドキュドラマというのはドキュメンタリードラマのことで、限りなくノンフィクションのドキュメンタリーの手法を取りながらも構成や設定は誰かの思惑や趣旨、志向が加味されたものを言います。言わば『やらせ』のドキュメンタリーとでも言えば良いのでしょうか？モキュメンタリー(Mock+Documentary)とも言われます。

この番組は、山田孝之という俳優が映画の最後のクライマックに自決するというシーンを撮影するところから始まります。そのシーンの撮影で俳優としての自分の感情を上手く表現出来なくなった山田は、偽物の刀を使うことを拒否、本物の刀を使っての撮影か撮影の中止を求めます。このあたりは『やらせ』と思われても仕方のない部分で俳優という一個人の事情だけで映画の撮影シーンがボツになる事など本来はあり得ないと思われます。

そしてスランプに陥った山田は一冊のマンガと出会います。それが、清野とおる「ウヒョッ！東京都北区赤羽」です。

そして、山田は赤羽に引っ越して実際のマンガの中に出てくる人物たちと出会っていくのです。この奇妙なマンガの中の登場人物と実際に生きている人々、赤羽の風景が不思議なドラマを作り出していきます。